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ある)、大都市に人口が集中しすぎるという状況の中で、日本の港湾は都市成長の促進を図って海の埋立を進めるとともに、マルチ型幹線ネットワーク(道路、鉄道、空港等)を拡張する際にいくつかの節点を置いている。また経済の近代化、社会の変化への対応、ゴミ処理、環境問題などに対応する戦略的配置も行なっている。

 

結果として、日本の主要港湾は海洋ターミナルというだけのものではなく、産業、商業、通信、公共サービス、アメニティー、住居、レクリエーションといったマルチ機能をもつ統合された複合都市となっている。土地の埋立技術の大きな進歩につれて、こうした場所が実質的な働きをする新都市型ウォーターフロント地域として開発されてきたのである。

 

港湾開発つまりウォーターフロント開発を通して、国家の成長と変化に対応したいという日本政府の考えは、ウォーターフロントヘのアクセスの改善、緑地の減少といった環境問題の解決、より娯楽性の高いアメニティー及び生活全般の質の向上を要請する市民の声と一致したのである。こうした流れを作り上げてきたのが10年ほど前から現れてきたウォーターフロント案であるが、これらは現在「ポートルネッサンス21」として推進されている。

 

日本の港湾は、市町村ないしは都道府県が統括する地方港湾管理当局によって管理運営されている。彼らは運輸省の基本(港湾)政策と、地方議会及び特定重要港湾と重要港湾の場合は運輸省の承認を得た地方・地区総合計画にしたがって港湾開発計画の草案を練る。承認を得た計画の公共部門による実施への資金提供は、事業投資5ヵ年計画に基づいて運輸省と地方官庁が折半して受け持つ。

 

日本は年間約750億円を自国の港湾事業に費やしている。公共資本への投資が港湾使用料と港湾使用税によって還元されるのはその一部である。使用料や税額は運輸省の監督下にはあるものの、地方当局が決定し、ある程度までは地方自治体問での競合性が持てるようになっている。

 

2bカナダの港湾システム
日本の港湾政策は安定しており、国の生命線である社会資本として港湾が果たす主要な役割に、大きな変化は見られそうもない。一方、カナダの港湾政策はこれまでずっと変化し続けており、カナダ港湾管理局も現在、変化の適中にある。

 

1995年、議会の委員会による検討後、連邦政府はカナダの港湾システムのありかたが過剰能力と非能率に陥っているとの結論を得た。海洋交通の80%が運輸省が統括する572ヵ所の港湾のうち40ヵ所に集中している。港湾の開発のため港湾インフラストラクチャに膨

 

 

 

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